ここ数年で不動産クラウドファンディングの商品は爆発的に増えてます。
従来不動産賃貸業は不動産の所有手続きに手間がかかる上に、もし事業に失敗すれば高額な融資の返済をしなければならないリスクが付きまといます。そんな従来型の不動産賃貸業の手間のかかる部分をプロに任せて、手軽に高利回りの資産運用ができるのが「不動産クラウドファンディング」です。
「不動産クラウドファンディング」なら株式投資並みに手続きが簡単でミドルリスク・ミドルリターンの資産運用が可能です。
そんな「不動産クラウドファンディング」には色々な契約形態があり、不動産投資初心者には馴染みの少ない分野ですよね。どの契約形態を選択していいかわからないという方に、不動産特定共同事業法による不動産クラウドファンディングの主な2つの契約形式(匿名組合型、任意組合型)の解説と不動産ソーシャルレンディング(融資型)との比較についてお伝えします。
当サイトは匿名組合型の3商品(えんfunding、COZUCHI、TECROWD)についてもご紹介しています。私も実際に出資しており、最大実年利280%や海外新興国への投資など、どれも個性的で魅力的なので、よろしければ比較記事もご覧ください。
不動産クラウドファンディングとは
不動産クラウドファンディングとは、「不動産を利用した事業に複数人で投資するもの」で、主に電子取引(インターネット)により契約するサービスです。高額な不動産を個人でも購入しやすいように小口化した商品で、商品によっては1万円から購入が可能です。
不動産特定共同事業法(不特法)によるものが一般的
不動産クラウドファンディングといえば不動産特定事業法(不特法)に基づく商品が一般的です。
不特法は1995年に施行されており、投資家保護を目的とした法律です。
バブル崩壊に伴い経営基盤の脆弱な事業者の倒産が相次ぎ投資家が甚大な損害を被ってしまうケースが増加していたため、当法律により不動産特定事業運営を許可性にしました。
また、当法律は何度か改正されており、平成29年にはクラウドファンディングを「電子取引業務」と位置づけ、契約に際し、以下の3点をインターネットを用いた電子的な方法を取ることが可能になりました。
当該改正により不動産小口化商品の取引に書面交付が不要になり、原則スマホやPCのみで契約できるようになります。不動産クラウドファンディングの利便性が飛躍的に上がり、不動産クラウドファンディングを取り扱う会社が爆発的に増えました。
「みんなで大家さん」は改正前から不動産特定事業を行っており、現在も書面交付を行っているため、不動産クラウドファンディングとは異なる位置づけですね
不動産特定事業の契約形式は・匿名組合型・任意組合型・賃貸借型の3形式がありますが、今回は主な契約形式である匿名組合型と任意組合型についてお話します。
匿名組合型
事業者が営業者となり、投資家が匿名組合員となって営業者の行う事業に出資をする契約を締結します。営業者は匿名組合事業として対象不動産を運用し、各匿名組合員(投資家)に収益の分配を行います。 出典:国土交通省
匿名組合型は不動産クラウドファンディングで多く用いられている契約方法です。
平たく言うと、不動産を取得・運用する事業者に出資をして、収益の一部をもらう事業形態です。
投資家は事業者に出資を行う見返りとして、事業の収益を分配してもらう権利を得ることができます。出資金の運用や業務の執行は事業者が行い、出資したお金は事業者に属します。
投資家と事業者の二者間での契約となっており、投資家と事業者が1対1で契約を行います。投資家はそれぞれ独立して事業者と契約を行うため投資家ごとの横の繋がりはありません。
また、投資家が出資する先は営業者と呼ばれ、事業の決定権はすべて営業者にあります。あくまで投資家は営業者が決定し運営する事業に対して出資をするのが役割となります。株式会社の株主のように、重要事項を決定したり、取締役を専任したりというような権利はもっていません。
投資家は不動産の所有権も所有していません。不動産の所有権は事業者にあるため、不動産登記も事業者が行います。
ただ、もしも事業で損失が出た場合でも、匿名組合員の責任は有限となっているため、出資金以上の債務を負う必要はありません。
ちなみにこの契約方法は商法の535条に定められています。
匿名組合型の不動産クラウドファンディングについては当サイトでもいくつかご紹介していますので、よろしければ御覧ください。
・COZUCHI
・えんfunding
・TECROWD
任意組合型
事業者及び各投資家が出資をして、対象不動産の運用を共同の事業として営むことを約して組合を組成します。事業者が業務執行組合員として対象不動産を運用し、各組合員(投資家)に収益の分配を行います。 出典:国土交通省
任意組合型は複数の投資家が出資をし、共同で事業を行うことを約束する契約です。
匿名組合型と異なり、事業者も含めた組員全員が一つの組合契約を締結する仕組みとなっています。
任意組合型においては組合員に重要事項に関する決定があり、業務の執行は組合員の過半数で決定します。
任意組合では組合員による不動産の登記も可能です。匿名組合型と異なり、不動産を実際に所有することができます。
事業者と投資家の立場は平等なものとなるため、財産も平等に共有されますが、債務についても組合員全員が連帯して返済義務を負うため、損失は出資額以上になる可能性があります。
また、任意組合型は民法667条〜688条に定められています。
不動産ソーシャルレンディング(融資型)も不動産クラウドファンディングの一種
不動産を扱う投資方法として不動産ソーシャルレンディング(融資型)があります。
ソーシャルレンディングとは、インターネットを使って投資家から資金を募り事業資金として貸付をするサービスですが、借り手にとっては低金利での資金調達が可能で、投資家にとっては高利回りでのリターンも期待できる仕組みです。その中でも目的を不動産事業としたものを不動産ソーシャルレンディングといいます。
ネットで資金を集めるクラウドファンディングの一種でもあるソーシャルレンディングは、一般的にファンドに対して貸付をしてファンドが投資事業を行うことになります。
こちらは投資家から集めたお金を貸し付ける事業であり、不特法に基づくものではなく、貸金業法や金融商品取引法により規制されています。
日本では2014年に法改正があり、新たな金融商品として注目されている分野でもあります。
不特法に基づく不動産クラウドファンディングとは不動産を扱う投資手法といった点で同じですが、事業収益モデルが大きく異なります。ソーシャルレンディングが融資の返済金利から分配金が発生するのに対し、不特法に基づく不動産クラウドファンディングは賃料収入や売却益から分配金を得ます。
その他、不特法に基づくクラウドファンディングでは賃料収入や売却益が収益となるため、契約時点で定められた利回りが変動することがあります。想定よりも分配利回りが高くなるケースもあれば、下回ってしまうリスクもあります。貸付金利で一定の収益を見込みやすい不動産ソーシャルレンディングと大きく異なるポイントです。
上記の特徴からソーシャルレンディングは融資先の貸し倒れリスクがあること、中途解約ができない点は注意すべきでしょう。
まとめ
今回は不動産クラウドファンディングについて分かりづらい用語をまとめました。
皆様の投資判断の一助になれば嬉しいです!
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